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●平成21年度 第2回 日本語能力試験 試験問題と正解(1・2級/3・4級)
 日本国際教育支援教会・国際交流基金、2010、凡人社、1600円/1400円+税

 「著作」という範疇からは外れるのですが、秘密にしなければならない期間が過ぎ、晴れて「経歴として公表可」となりましたので、ここにご紹介いたします。 私は2008年7月から2010年2月まで、日本語能力試験実施委員会の試験小委員会「聴解部会」の主任として、この日本語能力試験の作題に携わっていました。その時に作った「聴解」の問題が、この本に収録されています(試験は2009年12月6日に実施)。
 この回は日本語能力試験が改訂される前の最後の試験でしたが、「聴解」は特に、これまでの旧試験の集大成として、良問が揃っているのではないかと自負しています。試験のためだけの不自然な聞き取りは排除され、全てがコミュニケーション上の様々な場面での実際の聞き取りに近いタスクになっています。この考え方は「コミュニケーション能力を重視した」新試験へと受け継がれていったのではないかと思います。
 そして、この回の試験問題、実施後にネット上などで極めて大きな反響をいただきました。特に1級最後の「エヴァンゲリオン」風の問題(問題2-15番)は、YouTubeにもアップされ、音声ばかりではなくBGMや動画まで付けていただきました(汗)。YouTubeの動画は既にそれぞれが再生回数10万回を超える程になっています。
  でも実は「エヴァ風」以外にも、「RPGドラゴンファンタジー(ドラクエ+FF風)」「前田vs佐山の格闘技対決」「謎の古代発掘物"ガラダマ"」「ロボット技術者、ドラえもんやアトムを語る」「まんが日本昔話風」など、楽しい問題がいろいろあります。特に聴解教育の分野に興味のある方、ぜひ本書の問題を実際に見てみてください。ちなみに、過去問がオフィシャルに公開されているのはこの回が最後で、次の試験(新試験)からは試験問題は全て非公開となっています。
 なお、具体的な問題作成の経緯や、それぞれの問題をどのような意図で作成したか、またこれまでの様々なコメントに対してお答えしたいこと、などは、「この任務により知り得た問題作成に関わる機密事項」扱いになるそうで、「任期中及び任期後も口外しないこと」になっています。なので、そうした情報をここで書けない(直接会っても言えない)のが大変残念です。
 ちなみに、実施団体発行の公開資料である「日本語能力試験分析評価に関する報告書」によると、この「エヴァ風」問題は難易度でも識別力でも問題ナシだったということです(笑)。
●リンク●
「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む
2chニュー速クオリティ
YouTube動画(オリジナル)
YouTube動画(BGM付き)
YouTube動画(アニメ動画付き)


国際交流基金日本語教授法シリーズ2「音声を教える」
  (単著)磯村一弘、ひつじ書房、2009、1500円+税

 「国際交流基金日本語教授法シリーズ」は全14巻からなり、もともとは日本語国際センターで行われている海外のノンネイティブ日本語教師を対象とした研修における日本語教授法授業の内容をまとめたもの。第一の対象がノンネイティブ教師を想定しているだけあって、全編たいへん易しく、わかりやす書かれているのが特徴です。この第2巻「音声を教える」も、とにかくわかりやすさを優先に執筆しました。なので、日本語教育を勉強中の方で「音声はさっぱりわからない!」とお嘆きの方がいらっしゃいましたら、ぜひこの本をお試しください。はっきり言って、これ以上わかりやすく書かれた日本語音声学の本は、もう他にありませんから!
 でも執筆の際には、知識の全くない初心者が読んでもわかりやすいのと同時に、音声または日本語教育を専門とする方が読んでも役立てていただけるよう、気を遣ったつもりです。特に日本語音声の理論をまとめるだけではなく、外国人の日本語の発音をどう指導すればいいかに関しては、できるだけ具体的な例を挙げながら、実践的に使える教材となるよう目指しました。
 センターでは私が一手に「音声」の授業を引き受けていたこともあり、執筆は一人で行うことができました。なので大げさに言えば、もし私が死んでも、私がこの世でやってきた成果はこの本によって後世にちゃんと受け継がれていくわけです(笑)。
 この本のウリの一つは、付属のCD-ROM。実は作成時に、「付属のCDは音声CDではなく、CD-ROMにしたい」「できれば動画も入れたい」などの希望を出したら、「全部自分でやるなら(余計な予算がかからないのなら)構わない」という返事が返ってきました。なので、このCD-ROMは、個々の画像の作成からHTMLの編集まで、全部私が一人でシコシコと手作りした物です(録音と撮影のみ業者の方にご協力いただきましたが)。けっこうすごいでしょ?
  発音指導場面のビデオには、当時の研修生、学生はもちろん、同僚などにもご出演いただいています。ありがとうございました。将来、娘たちがこのビデオを見て「お父さんはこんな仕事をしていたんだ」と思うことでしょう。なお、MRI動画で輪切りになっているのも私です(神戸大学の定延先生、林さん、ご協力ありがとうございました)。首の後ろの肉を見ればわかる、という話ですが。ちなみに、日本語の単音を発音する際の口元を映した映像は、「髭の男の口元は見るに堪えない」という意見により、女性の同僚にご協力いただきました…うーむ。
●リンク●
ひつじ書房:「国際交流基金日本語教授法シリーズ サポートページ」


DVDで学ぶ日本語「エリンが挑戦!にほんごできます。」Vol.1〜3
  (共著)簗島史恵・久保田美子・磯村一弘、凡人社、2007、各巻:2400円+税      

 NHK教育テレビで語学講座として放映されていたので、ご存じの方も多いと思います。もともとは、 主に海外で日本語を学ぶ高校生を対象とした、映像提供型の日本語教材として制作されました。教材のコンセプトとしては、「語学学習」と「文化理解」の2つの面を重視しています。
 「語学学習」では、日常生活で日本語を使って何かが「できる」ようになることを目指します。文法や文型を一から積み上げるのではなく、習った文型を、日本の日常の場面で実際にこうやって「使う」のだということを映像で見せています。主教材で文型を練習した後、これを応用的に使ってみるための練習などができるでしょう。
 「文化理解」は、「コンビニ」「携帯電話」などの最新日本事情から、「祭り」「温泉」などの伝統的日本文化、「修学旅行」「部活」「文化祭」など高校生活についてなど、様々なトピックを網羅。映像を通じて、日本文化を体験し、これについて「考える」ことを目指します。なおトピックの選定に当たっては、海外の高校生に実際にアンケートを採り、彼らが「見たい」と思ったものを優先的に取り入れています。
 各課はそれぞれ、短いいくつかのコーナーからできています。中心となる「基本スキット」「応用スキット」のほか、キーフレーズが様々な場面で使われるのを見る「いろいろな使い方」、日本文化を映像で紹介する「見てみよう」、日本文化を外国人が体験する「やってみよう」、世界の日本語学習者や日本語を使って働く人を紹介する「世界に広がる日本語」など、様々なコーナーがあります。自分の授業に合わせて、好きなところを好きなように使ってみてください。
 ちなみに、「エリン」というのはうちの長女の名前から来ています。本人は第2課の「たこさんウィンナーを作る」にも出演しています。日本語教師役の黄色いCGキャラクター「ホニゴン」は、私がモデルになっているという噂もありますが、もともとは偶然だったと思います。でも番組宣伝の時あたりから、プロデューサーにそのように位置づけられてしまったようです。なお偶然とはいえ、ホニゴンには最初、口髭をつける案がありました(が、スタッフ女性陣の「汚い」の意見であえなく却下となりました)。それからホニゴンには時々お腹をボリボリと掻くクセがありますが、これもいつの間に盗まれたのか、不思議でなりません(笑)。
●リンク●
WEB版『エリンが挑戦!にほんごできます。』

エリンが挑戦!にほんごできます。−Wikipedia


●日本語教師必携 すぐに使える「レアリア・生教材」アイデア帖
 (共著)久保田美子・簗島史恵・中村雅子・磯村一弘・長坂水晶・八田直美
  2006、スリーエーネットワーク、1800円+税

●日本語教師必携 すぐに使える「レアリア・生教材」コレクションCD-ROMブック
 (共著)磯村一弘・三原龍志・赤澤幸、2008、スリーエーネットワーク、3000円+税 

 「レアリア・生教材」とは、日本語学習者向けに作られた教材ではなく、日本人が日常生活で実際に使っている「本物」を、日本語学習の教材として利用するときの言い方です。
  『アイデア帖』では、食品のパッケージやレストランのメニュー、カタログやチラシ、路線図、旅行パンフレット、日本的なお土産、新聞記事、街の看板の写真など、日常にある様々な「モノ」を出発点にして、これを日本語の授業にどうやって使えるかというアイデアをいろいろ紹介しています。日常生活でのコミュニケーションにできるだけ近い練習がしたいとき、また日本の物を通して日本の文化について考えさせたいときなど、この本のアイデアをぜひ参考にしてみてください。
  姉妹編である『コレクションCD-ROMブック』は、このような、日本で実際に使われていた様々な「レアリア・生教材」を、擬似的レアリアとして電子データ化して、CD-ROMに収録したものです。「レアリア・生教材」は、実際に使おうと思ったときにすぐ使えるように集めておくのは大変です。そんなとき役立つのがこのCD-ROMです。収録されているデータを印刷したり、コンピュータ上で表示したりすれば、「本物」に近い資料が簡単に得られます。特に日本の物が手に入りにくい海外の教育現場で活躍できるのではないでしょうか。
  なお、このCD-ROMには、うちの娘たちの部屋の映像が収録されています(汗)。所属するオーケストラのチケットも使われていますし、そこの後輩にも自己紹介ビデオに出演してもらっています。そのほかにも、行きつけの店、娘の友だち、同僚およびその家族や知人、お世話になっている某W稲田大学のK口先生など、多くの皆様に個人的にご協力いただきました。感謝いたします。
 お知らせ:CD-ROMはすでに版元品切れのようです。本屋で見つけたら即ゲットするか、中古品をお求めください。